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伝統銘菓「くらわんか餅」を現代アレンジした店舗のブランディング。

Project
店舗ブランディング
Cliant
くらわんか餅の世界
​大阪枚方市に江戸時代から受け継がれてきた「くらわんか餅」も時代の波に飲まれ、現在販売する店舗も数少なくなってきていました。そこで伝統が途切れてしまいそうな現状に声を上げたのが、枚方の地に生まれ育ったオーナーの森野直樹さん。ご相談の以前からも新しい「くらわんか餅」の開発に取り組み、同枚方市内にある旧店舗にて販売していました。商品の品質も安定し地元でも徐々に浸透してきたこのタイミングで、新店舗を開業したいとご相談をいただきました。

Process.1 旧店舗での課題を共有

商品と安価な包装資材のギャップ感が悩み。

​「大量生産ではなく、ひとつひとつ手づくりの本当に美味しいものを届けたい。」「食の安全面からも、無添加無着色にこだわりたい。」今までの餡で包まれただけの素朴な「くらわんか餅」とは違い、全国から旬な素材を取り寄せ、とても手の込んだ製法で作っています。ただ、従来のものより約1.5倍強の単価なのに、価格に見合ったパッケージでないことに悩まれていました。また、同様に新店舗のデザインも、高品質を裏付けするような品のある佇まいで打ち出したいとのことでした。

Process.2 ​ 伝統を進化させた銘菓

歴史背景を理解したうえで刷新するべき点を模索。

​まずは「くらわんか餅」の歴史を紐解きながら進めました。第十四代将軍・徳川家茂の時代まで遡り、淀川に往来する船に向かって「酒食らわんか 餅くらわんか」とくらわんか船とともに枚方の銘菓になったと伝えられています。先出のとおり、素朴な「くらわんか餅」だけでは現代のニーズにはマッチングしないと、無添加無着色にこだわった新しい製法、鮮度を大事にしたおいしい食べ方のご提案、そして四季折々の商品ラインナップを増やしていきました。枚方銘菓としてのアイデンテティは守りつつ、次の世代につながる銘菓へと進化させました。

Process.3 ​ 中身とデザインの平衡

価格設定に見合ったコミュニケーションツールを目指して。

お客様が手にされるパッケージやリーフレット、ショップバックなどのデザインがお餅のシズル感を表現できていなければ本末転倒。パッケージの方はできる限り要素を省きながら、中身が見えるような絵柄で図案化。その他のツールも役割に応じて情報の抜き差しを行いました。また毎日使うツールだから、見た目や品の良さをキープしながらプリンティングコストにも気を使い、当初目指したパッケージ単価におさめることに成功しました。

Process.4 ​ ハードとソフトの両立

建築の装いにあわせて平面デザインを立体化。

店舗に使用するのれんは、「くらわんか餅」のゆかりのある紀州徳川藩の定め柄「極鮫小紋」の反物を使い、サインは京都工芸の染めコモリさんに依頼をしました。また、店内装飾の掛け軸も徳島の和紙製造会社さんに製作していただき、ソフト面のイメージをそのままハード面でも使用し、全体のイメージ統一を図りました。

Process.5 販路の拡大

関西だけだった商圏をECサイトで全国展開に。

開業後、同時に立ち上げたECサイトで、いままで関西にとどまっていた商圏を全国からも注文できるようになりました。また、リピーターさまが多い店舗なので、お店に足を運ばなくても購入できるようになり、これからのツールとして期待が持つことができました。プロモーションの部分でも、PR会社を通じてのテレビ紹介、雑誌掲載などの展開を図っています。

Interview

伝統を進化させる「くらわんか餅の世界」
オーナー森野直樹さんにご感想を伺いました。

​パッケージをはじめ、ショップツールのリデザインを行ったご感想はいかがでしょうか?

時間をかけて細部にまでこちらの要望に応えていただいたことで、予想をはるかに超える完成度で満足しております。特にお客様のご反応が良く、お洒落で高級感があるとのお声を頂戴しております。

リアル店舗にくわえて、今回ECサイトの立ち上げもおこないました。お客様の幅は広がりそうでしょうか?

ECサイトがプラスされたことで、今後プロモーション展開していく場所なども地元だけでなく今までより広範囲にすることが可能になったと思います。

開業期も落ち着き、伝統銘菓の常識に捉われない和菓子屋として今後の展望などありますでしょうか?

売れるデザインや斬新なグラフィックデザインは勿論ですが、作った後からがリアルな商売が始まるので、メディア、広告関係などへの橋渡しなどしてもらえたらと思います。

ありがとうございました。デザインの納品だけに終わらず、引き続きプロモーションの施作などのご提案もさせていただければと思います。

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